会社設立に関するQ&A
個人事業から法人成りに関する疑問
法人化したときのメリットは?
個人事業主では事業所得(事業で得た利益に対して)に対して所得税が課せられます。
所得税では所得金額が高くなればなるほど税率も高くなっていきます。
所得金額 |
税率 |
195万円以下 |
5% |
195万円を超え 330万円以下 |
10% |
330万円を超え 695万円以下 |
20% |
695万円を超え 900万円以下 |
23% |
900万円を超え 1800万円以下 |
33% |
1800万円を超え 4000万円以下 |
40% |
4000万円超 |
45% |
これに対して、資本金1億円以下の法人の場合、法人税率は以下のようになります
所得金額 |
税率 |
年800万円以下の部分 |
15% |
年800万円超の部分 |
23.4% |
税率のメリットだけを考えるのならば、利益の金額によっては個人事業主のままのほうがよいケースもあります
※上記は、2017年11月3日現在の情報に基づいていますが、鵜呑みにせず必ずご自身でご確認ください
ただ、法人化すると節税の幅がぐっと広がります。
最も節税になる給与関係ですが、法人からの給与が経費になるだけでなく、受け取った給与には給与所得控除があります。また奥様やご家族がいる場合には報酬を一人で受取るよりも二人で受けたほうが所得の分散による節税メリットを享受できます。さらに個人事業の時に家族に青色事業専従者給与を支払っていた場合は、扶養控除や配偶者控除が使えませんでしたが、法人にするとそれが使える可能性が出てきます。この他退職金を経費にすることができます。退職金は給与に比べて控除がはるかに優遇されていますから節税の面からはとても魅力的になります。
給与以外の節税手段としても役員社宅の利用、出張手当を給与の一部に充当、法人保険の利用、消費税の免税等たくさんのメリットがあります。
法人化したときのデメリットは?
- 業務の煩雑さ及び税理士報酬
個人事業の時は正確さは置いておいても、インターネットで調べることで何とか自分で対応することもできる人もいると思います。
しかし法人化すると、様々な書類への対応は一気に複雑になり、特に申告書をインターネットで調べて自分で作成する、ということは実質不可能になります。このため専門家に依頼せざるを得なくなりますが、その報酬は個人の時より通常高くなります。ただ、煩雑な業務から解放されることと、専門家のアドバイスで数万円~数十万円税金が変わってくることもあることから、一概にデメリットとは言えないとも言えます。また税理士報酬そのものも経費として算入できるので、黒字であれば実質的な報酬額は、定時金額の70%程度となることが多いと思います。
- 法人住民税の均等割り
法人にすると、法人住民税に均等割りというものが発生します。その金額は地域によって若干異なりますが7万円前後です。これは赤字であっても発生するものであり、事業規模が大きくなってくるとより多額となります。
- 社会保険の負担
法人にすると、社会保険の強制適用会社になります。自分ひとりの会社であれば、個人事業主時代の国民健康保険や国民年金よりも保証が手厚いため、一概にデメリットとは言えないかもしれません。ただ従業員を多く抱える場合にはそれなりの負担になるため注意が必要です。
- 税務調査
法人のほうが一般的には個人事業よりも税務調査を受ける可能性は高いです。しかしそれは事業規模が法人の方が通常は大きいからというだけなので、個人事業であっても、事業規模がある程度になれば税務調査を受ける可能性はぐっと高くなります。そういう意味ではデメリットとは言えないかもしれません。
結局法人化したほうがよいのはどのような人か?
メリットがデメリットを上回る場合に法人化を検討してみることになります。
下記のいずれかに該当する場合はメリットがデメリットを上回る可能性は十分にあります
- 売上が1000万円超である
- 利益が500万円程度出ている
- 従業員が親族だけである
次回は、会社設立に関するQ&A~責任に関する疑問を紹介します。
利木貴志
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