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税理士という仕事柄、
独立起業したばかりの社長さんと
話をする機会が多いのですが、

ほとんどの方は「自分は○○屋さん」と思っています。

例えば、
Web制作に携わっていれば「自分はWeb屋」
建設業の会社なら「自分は建設屋」
治療院経営なら「自分は治療屋」
税理士事務所なら「会計屋」

という感じです。

これはこれで間違いではないのですが、

僕はこういった社長さんに、

「自分は経営者で「たまたま〇〇という商品を取り扱っている」
というふうに考えたほうがいいですよ。」

とよく言います。

どういうことかというと、

Web屋、建設屋、治療屋、会計屋というのは、
「商品」を中心にした見方で、

でも、ソニーの商品の中心がいまだにウォークマンか?
というとそうじゃないわけで、

時代の変化に合わせて
商品は常に入れ替わりますから、

商品に固執するということは、
時代というコントロールしずらいものに、
自分の経営をさらしてしまっている、

ということになると思うのです。

もしそうだとしたら、
そんなの怖くないですか?

そうではなく、
お客さんに手にとってもらい、繰り返し買ってもらう、
というように、
「お客さん」を中心に見ることはできないでしょうか?

もし「お客さん」を中心に
見ることができるようになれば、

例えば、
市場(お客さん)から受け入れられなかったため、
商品が売れなかった時、売れなくなった時、

商品中心で考えてしまうと
なかなか売るのをやめることはできませんが、

自分は経営者で、中心は「お客さん」
と考えることができていれば、

売れないキャンペーンはすぐにやめますし
売れない広告はすぐに中止しますし
売れない商品はすぐに捨てることができます。

また商品中心に考えてしまうと、
業界の常識や一般的なやり方に固執してしまい、
どうしてもその商品のカテゴリー内で判断しがちです。

「自分は○○屋」と思い込んでいるため、
他業種のいい考え方やアイディアを目にしても

「こんなことしたら、お客さん、同業、従業員になんて言われるだろうか?」
「笑われないだろうか?」
「みんな自分から離れていかないだろうか?」

と、わくわくするどころか不安を感じ、

本当はよいアドバイスでも、
「いや~、それは無理です(苦笑)」
「それはなかなか難しいんですよね(苦笑)」
「今は忙しいので…(苦笑)」

と、反応的に消極的な回答をしてしまいがちです。

ちょっとぐらい考えてみればよいのに…
と思わないでもないです。

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一旦立ち止まって
考えることもできるのに、

そうしないで、
反応的に拒絶してしまうのはどうしてか?
と考えてみると、

人と違うことをして、すぐに成果を大きく出すことよりも、
人と同じことをして、まずは成果が出ないことを避け、
人と違うことをする勝負はそれから、

と考えているからでしょうか?

でも、ちょっと気になるのは、

そういうことを
当然全部踏まえて選択したであろうそのやり方は、

・成果が全く出ないということを本当に避けられるやり方なのか?
・いざ勝負の時には本当に力となるやり方なのか?
・そもそも勝負のステージまで上がりうるのか?

ということです。

もしかして、
大勢の同業がやっていることの共通項を抽出しただけで、
それをもって「選択」

と言っていることはないですよね?

どんな業界でも
上手くいってない社長のほうが多いわけで、

右へ倣え、
とばかりに同じような事しかやらなければ、

なんとなく安心感はあるかもしれませんが、
結果はそのような社長と同じかそれ以下というのは、
それは当然という感じがします。

多数派に乗ることが正しい局面もあるとは思いますが、
それは自分が給与所得者の立場であれば、そう言う局面もありますよね、
ということであって、

経営していく立場の世界では、
成功している人はごくわずかということからも、
少数派サイドに立ったほうが正しい選択、
と言えるのではないでしょうか?

どんな業種であっても、
その業界の慣習や常識的なやり方などがあります。

でも自分がお客さんの立場だったら、
他とそれほど変わらないような所にわざわざ遠くから指名買いしに出かけるか?
と言えばそれはなく、

他とそれほど変わらないなら、
昔から知っている、有名で、業界最大手で、
価格もそこそこリーズナブルなところを選択するでしょう。

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社長といっても自分は職人として、
その道のスキルを追求していくと選択したのであれば、
その選択は素晴らしいことで、今回の話は種類の違う話ですので、
参考にならないと思います。

でも、もし社長が、
自分は経営者としての道を選択するというのであれば、

冒頭で述べた
「たまたま今の商品を扱っているに過ぎない」
と考えるべきで、

そうであれば、
やるべき仕事はたったの2つ
・お客さんを獲得して
・お客さんを維持する

だけです。

なぜなら、
お客さんを獲得して維持するためには、
人の行動心理を知らなければいけませんが、

人の行動心理はすべて同じで、
どんな商品を買う時であっても、
・同じことを考えて
・同じパターンで買い物をします

よね?

人の行動心理に業界はないはずです。

ですので、
「うちの業界では…」なんて言葉にあまり意味はないですし、
「うちはちょっと違うんですよね…」「うちは特殊だから…」
なんて言葉が反応的に出そうになったら、
そこはぐぐぐっ!とこらえて、

「これは自分のとこだとどこで使えるだろうか?どう使えるだろうか?」
と考えてみるとよいのかなと思います。

プロフェッショナルになりましょう!

‐利木貴志